「君が為 尽くす心は水の泡 消えにし後ぞ 澄み渡るべき」
上記は幕末の4大人斬りとして知られている「岡田以蔵」の辞世の句です。
岡田以蔵は土佐の武市半平太の下で暗躍をしていた有名な人斬りなのですが、司馬遼太郎先生の「人斬り以蔵」や武田鉄也氏原作の「お~い竜馬」などを読むと憎めない人柄が伝わってくる不思議な人です。
坂本竜馬から勝海舟の護衛を頼まれた時のエピソ-ドでは京の夜道で刺客に狙われた勝海舟を以蔵が守りますが、その時勝海舟から「人殺しをしてはいけない」という様な忠告を受けます。
それに対して以蔵は「私が今斬らなければ、あなたは死んでいましたよ」と返したそうですが、さすがの勝海舟もあれには言い返せなかったと後述していたそうです。
晩年、暗殺事件に加わった罪で投獄されますが、以蔵は拷問を耐え白状しませんでした。
しかし以蔵の自白を恐れた武市半平太(瑞山)に毒殺を企てられた事で(これは未遂に終わる)信頼していた武市の裏切りにさすがの以蔵も心が折れてついに自白してしまい打ち首獄門となってしまいます。
武市の為、この国の為と信じて命懸けで多くの人を斬ってきた以蔵。
その事自体には賛否両論あるかと思います。
ですが、心から慕い信じていた人に裏切られた時のショックは計り知れないものがあったと思います。
この辞世の句には頑固ながら純粋であったと言われるその性格が表されているような気がします。
ちなみに以蔵を調べるとなぜだか少しだけ違う辞世の句もありますが、こっちの方も好きなので以下にご紹介します。
「君が為 尽くす心は水の泡 消えにし後は 澄み渡る空」
「この人こそ」と信じ、目的達成の為に尽力した自分の「想い」は水の泡のように消え去ってしまうが、消え去ったあとには一切悪意のない澄み渡る水(空)のような心が残る事をただ信じた最後だったのだと思います。
以蔵は浅学だったと言われていますが、この辞世の句からはそんな事を感じさせない気品と心の清らかさが伝わってくる様で、この句を読むたびに自分も心が清々しくなりますのでご紹介させて頂きました。
ちまたは3連休で大型台風が猛威を振るうなか、私は本日も仕事ですが、お客様の為にも清々しい気持ちで今週も頑張っていこー!!