今回はマシニングセンターについてです!
私は物心つくころから工場で父親(社長)が旋盤加工などをしているのを見て育ってきましたので特に違和感が無いのですが、一般の方には「鉄を削る(切削加工)」というのはなかなか馴染みの無い事だと思います。
先日も私がマシニングセンターで加工をしていた時、お客様から
「この機械はどうやって使うんですか?」
「やっぱり難しいんですか?」
といった質問をされました。
良い機会ですので今回はマシニングセンターで仕事をする際の手順の一例をご説明致します。
以下は作業の流れ(一例)になります。
1:まず加工図面をよく見ます。
図面からどの様な形状の品物か確認(イメージ)します。
・図面(一例)
加工をする際に上記の様な図面を元に加工手順を考えます。
・どこから加工するのか。
・どの様に品物をクランプ(締め付け)して段取りするのか。
・どの様な工具を使用するのか。
など最終工程まで一連の流れを先に考えておきます。
これはいざ加工を始めた時に、この箇所は後から削らないと次の段取りが出来ない(クランプ出来ない)など、製品として仕上がらない事態に陥る事もあるので最終工程まできちんと考えてから加工を始める必要があるからです。
2:一連の流れが把握できたら次に段取りをします。
段取りする際にはあまり品物を強く締めすぎるとそこに「応力」が働き加工精度が悪くなる事があるのですが、逆に締め付けが弱いと品物が吹っ飛ぶ事があります。
この段取りの仕方に加工屋としての腕の差が出ると思います。
時には「この形状の品物はどうやって段取りすれば良いんだ?」といった品物(図面)も見かけますが、そこが加工屋の腕の見せ所ですね!
品物をクランプしたら使用する工具を取り付けてから加工原点を決定し、工具の長補正・径補正を機械に入力します。
段取り一例(油圧バイス)
3:段取りが出来たら次に加工工程順にプログラムを作成します。
プログラムの作成方法にはいくつか種類があります。
・自分で作成する。(手打ち)
・CADCAMで作成する。(PCで自動作成)
・対話型などで作成(マシニングセンターに内蔵されたプログラム作成ツールなど)
弊社は多品種少量生産体制で行っておりますので、毎回形状の違う加工が多く、無駄なエアーカットを省く為(時間短縮の為)にもほとんど自分で作成(手打ちで作成)する事が多いです。
(加工内容によりCADCAMを使用する事もあります。)
プログラム入力画面
プログラムを組む際の注意点は以下になります。
・無駄な動きを省く
・使用工具の「切削条件」を最適なものにする(主軸回転数、送り速度、削り代など)
・プログラム入力文字数を極力減らす
上記の事を踏まえ、荒加工、中荒加工、仕上げ加工という流れでプログラムを作成します。
4:マシニングセンターにより自動運転します。
・工具の長補正、径補正、動作確認
・切削油の確認
・キリコ(切削屑)の処理状況
・異音が無いか?
など確認しながらサイクル時間が長い時は違う機械で加工をしたり、図面作成、機械メンテナンスなど他の作業もしています。
フルバック(Φ100)による加工例
エンドミルによる加工例
上記の様に工程を何度か繰り返して製品の完成です!
製品画像1
製品画像2
最後に寸法を計測し形状に間違いがないかなど、最終確認をしてお客様にお届け致します。
人それぞれにやり方は様々だと思いますが、マシニングセンターは概ねこの様な手順で作業を致します。
これを機にマシニングセンターや切削加工について少しでも興味を持って頂けたら幸いです!
自分もマシニングセンターの「プログラマー兼オペレーター」としてさらにレベルアップする為にも
・段取り作業の向上!
・加工工程の見直し!
・効率的なプログラム作成
・有効な切削工具の探求
などなど地道な努力の積み重ねが必要です!
今後もまだまだ精進あるのみです☆