引張強さと安全率について

今回は設計をする際に考える、金属材料の「引張強さ」と「安全率」というものについて簡単にお話させて頂きます。

 

金属材料を使い「設計」をしようとする際に、金属材料の表を見ると「引張強さ(N/㎟)」などと書かれています。

これは引張試験などで得られる最大荷重値をもとの断面積で割ったものになります。

 

引張強さ【MPaN/㎟】=最大荷重値【N/もとの断面積【㎟】

 

といった上記の式で表されていて専門書などを読むと頭が痛くなりがちですが(←自分だけ?)

要はどのくらいの力が掛かると金属が破断するかの値になり、当然 数値の高い材料の方がより強い材料という事になります。

 

仮に2種類の金属材料の使用を検討している場合に引張強さが倍違うとしたら耐荷重値を同じにする場合には肉厚を倍にするなどして面積を大きくしないと同じ強さを得る事が出来なくなります。

 

簡単に肉厚を倍にする事が出来れば良いのですが、重量やスペースなどの兼ね合いからそうそう出来ない場合も多く、また強い材料というのは高価な場合が多いので実際に設計をする際には価格面も考慮しなければお客様に負担を掛ける事になりますので、この辺をバランス良く設計する必要があり引張強さという数値が重要になります!

 

次に簡単に引張強さについて計算してみましょう!

 

例えばロープの強さを計算する場合ですが、材料の引張強さを100MPaN/㎟】として、そこに1000N】の引張荷重かかったとした場合の破断しない為の必要な面積は

 

S【㎟】(面積)=引張荷重【N/引張強さ【N/㎟】=1000/10010【㎟】

 

になります。

 

ただ、上記の計算で出された数値は破断しないギリギリの数値となり、例えばいつ切れるか分からないロープにぶら下がっているのと同じ事になります。

 

そこで考えなくてはならないのが、「安全率、(許容応力)」ということになります!

 

許容応力は 

 

「許容応力【MPaN/㎟】=基準強さ【MPaN/㎟】/安全率」

 

上記の計算式で求める事が出来ます。

 

これは材料の強さをギリギリのところで使用するのでは無く、必要な断面積を大きくする事で機械の強度を上げ、より壊れにくい(安全な方向へ持っていく)設計にする為の考え方です。

 

何を当り前な・・・と思われるかもしれませんが ・・・

 

 

この安全率をどのくらいにするかが設計する上で非常に重要になります!

 

安全率を高くすれば当然機械は丈夫(壊れにくく)になりますが、価格面で高くなってしまいます。

仮に安全率を下げ、材料代を安くする事が出来ても、すぐ壊れてしまう機械装置ではメンテナンスにコストが掛かり結局お客様の負担が大きくなってしまいます。

 

この非常に重要な安全率ですが、何か一定の基準などがある訳では無く、その時々の状況が異なる為にすべてを計算で出す事は不可能なので、設計者が経験値などを踏まえて自分で決める事が多いのが一般的です。

 

例えばワイヤーロープ1本選ぶ場合でもそれで自分を吊上げる場合を想像してみて下さい。

 

1m程度吊り上げるのなら安全率は「2」(倍)ぐらいでも良いかな?とか余裕で思うかもしれませんが

仮にヘリコプターなどで上空3000mほどの高さまで自分を吊り上げるとしたら・・・

 

 

 

あなたなら安全率をどのくらいにして設計しますか?

 

 

ある程度計算で出した数値を採用するか?恐怖心から安全率を高めに設定するか?

 

そんな訳で「引張強さ」や「安全率(許容応力)」という数値が非常に重要になる訳なんですね!

 

自分もお客様の為により良いモノ作りが出来るように今後も精進です!

 

 

 

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