電圧降下、電線の機械的強度について

電気工事を行う際に考えなくてはいけない「電線の選定」には下記の3原則があります。

 

 

1)許容電流

2)電圧降下

3)機械的強度

 

この3原則は1つでも欠けてはならない重要な要素になります。

今回は「電圧降下」と「機械的強度」について簡単にお話しさせて頂きます。

 

まずはじめに電気を送電する際の配電方式ですが主には以下の3種類の方式があります。

 

    方式                     主な特徴

単相2線式100【V】       一般住宅の電気機器や電灯に使用。

単相3線式100/200【V】    一般住宅の電気機器や電灯に使用。(100【V】及び200【V】)

三相3線式200【V】など    回転磁界を得る事ができ、三相誘導電動機の電源に使えます。

 

上記の様に一般家庭では単相2線式または単相3線式が使われていて、工場などの機械の電源は三相3線式が使われています。

 

1)「電圧降下と電力損失 」

電線に電流を流すと、その抵抗に打ち勝って電流が流れようとする為に電圧は降下します。

たとえば電源が100Vのとき、負荷のところでの電圧の測定値が97Vだった場合は、3Vの電圧が電線の抵抗の為に下がったことになります。

上記の様な状態になる事を電線路の「電圧降下」といいます。

 

また電線路の抵抗による損失を「電力損失」といいます。

電力損失は電流の2乗に比例します。

ですので、同一負荷の電力を供給する場合、配電電圧を高くすると線路電流が小さくなるので、電力損失も2乗で少なくなります。

 

以下に「電圧降下」と「電力損失」の計算式を記載します。

 

「電圧降下」

  配電方式          計算式 (V=電圧、I=電流、R=抵抗)

単相2線式の場合       V=2IR  【V】

単相3線式の場合       V=IR   【V】

三相3線式の場合       V=√3IR【V】

 

「電力損失」

  配電方式         計算式 (P=電力損失)

単相2線式の場合       P=2I2R  【W】

単相3線式の場合       P=2I2R  【W】

三相3線式の場合       P=3I2R  【W】

 

2)「機械的強度」

使用する電流を少なくすれば細い電線を使用する事が出来ます。

電線を細くする事が出来れば配線費が安くなるといったメリットがありますが、あまり細すぎる電線を使用すると何かがぶつかったりするなどの衝撃が加わると断線しないとも限りません。

 

そうした事が起こらないようにする為に、電線にはある程度の「機械的強度」がある事が法規その他で定められています。

 

低圧屋内配線としては「直径1.6mmの軟銅線、もしくはこれと同等以上の強さおよび太さのもの」と規定されています。

 

下記に「電気設備技術基準・解釈」からの配線の種類と電線の最小直径の一部を記載します。

 

配線の種類        電線直径(mm)    電線の材質      根拠条文

__________________________________

低圧屋内配線        1.6             軟銅線        第164条

                      1㎟のMIケーブル    

__________________________________

低圧屋側配線        1.6             軟銅線        第211条

__________________________________

低圧架空引込線       2.6             硬銅線        第97条

__________________________________

 

 

電圧降下が大きければ電灯など照明器具が暗くなりますし、電動機(モーター)は回転力が弱くなるなどの影響がでます。

また電線はその回路の安全性を保つためにも「許容電流」を持ったものでなければいけません。

断線などの事故を起こさない為にもある程度の機械的強度が必要になります。

 

第二種電気工事士として上記の事などをきちんと考えお客様の為に「安心・安全」をお届けできる様に日々精進です!

 

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ブログ管理者:津金善雄

 

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