幹線の許容電流について

電気工事を行う際に考えなくてはいけない「幹線の許容電流」について簡単にお話しさせて頂きます。

 

許容電流とは「電線に安全に流せる電流の値」の事です。

 

電線には抵抗がありますので、電線に電流を流せばジュール熱が発生します。(ジュール熱:

HI2R)

つまり同じ抵抗の電線なら電流の多いほど、同じ電流なら抵抗の大きい電線(より細い電線)ほど多量の熱を発生する事になります。

電流がある限度を超えて増加すると温度上昇が激しくなり、皮膜の絶縁物を損傷したり劣化させてしまいます。

一方で、発生した熱は周囲の空気によって冷されますので、発熱の度合いと冷却の度合いが釣り合っているか、冷却の度合いが勝っていれば一定以上に温度は上昇しない事になります。

 

上記の事等を踏まえ、電線にはそれぞれ「安全に流す事のできる電流の最大値」が定められていて、この値の事を「許容電流」といいます。

 

下記にビニル絶縁電線の許容電流値を簡単にまとめます。(周囲の温度が30℃以下の場合)

 

単線     許容電流【A】

1.6mm      27

2mm       35

2.6mm      48

3.2mm      62

 

より線    許容電流【A】

2㎟        27

3.5㎟       37

5.5㎟       49

8㎟         61

14㎟        88

22㎟       115

 

次に幹線の許容電流の求め方を説明させて頂きます。

 

低圧屋内配線は幹線と分岐回路で構成されています。幹線には、分岐回路に接続されているすべての負荷電流が流れるので、幹線の許容電流は、「すべての負荷の低格電流の合計値以上のものが必要」になります。

 

「電動機などの負荷がない場合」の求め方

「幹線の許容電流≧負荷の低格電流の合計値」となります。

 

「電動機などの負荷がある場合」の求め方 (電動機=IM 電熱器などの負荷=IH)

IM≦IHの場合(負荷の低格電流がモーターの方が小さい場合)

幹線の許容電流IW≧IM+IH

 

IM>IHの場合(負荷の低格電流がモーターの方が大きい場合)

IM≦50【A】の場合→IW≧1.25IM+IH

IM>50【A】の場合→IW≧1.1IM+IH

 

上記の様に計算して許容電流を求めてから適切な幹線の太さを選定します。

 

「電流減少係数」

また、上記の他に電線を合成樹脂管や金属管に収めるときに、電線を何本か纏めて収める場合があります。

何本かを束ねて収めると抵抗熱が発散しにくくなり温度が上昇するので許容電流を減少させる必要があります。

こうした場合には、電線管に収める電線数により決められている電流減少係数を乗じて求めます。

「電線管に挿入した絶縁電線の許容電流の値=電線管に入れない時の許容電流の値×電流減少係数」で求める事ができます。

 

下記に電流減少係数を記載します。

 

同一管内の電線数    電流減少係数

3本以下              0.7

4本                 0.63

5本または6本           0.56

7本以上~15本以下      0.49

16本以上~40本以下      0.43  

41本以上~60本以下      0.39

61本以上              0.34   

 

 

 

電線の選定(太さ)を決める3原則は

1)許容電流

2)電圧降下

3)機械的強度

上記の3原則になります。(他の2項目については別ページを参照して下さい。)

 

自分も第二種電気工事士として安心・安全な幹線の設計ができる様に今後も精進です!

 

 

 

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ブログ管理者:津金善雄

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